〒カワチ日手紙〒- 外 -

「あえて」以降の、生きる仕方の試みの記録。「父」像、「家族」像への試み。文中に出てくるCは妻で、五部林は息子です。

脚本家・山田太一

 マイケル・ナイマンの『The Piano』を「Music Unlimited」経由で流しながら、書き始める。
 SONYの「Music Unlimited」は、月額制(980円/月。今は30日間無料体験期間)だけど、iTunesとは違って、いちいち購入しなくても良いし、ストリーミングで聞けるから便利。ただ、なんとなく海外版ばかりで、曲数も少ない感じはするけれど、こうして、何でも良いからBGM的に音楽を聴きたいときには良い。
 『The Piano』は、ジェーン・カンピオン監督『ピアノ・レッスン [DVD]』(1993)のサントラで、映画の公開時もYさんと観た記憶がある。もう20年も前になる。作品の内容自体は、ぼやけたようにしか覚えていないが、この映画の主題曲(The Heart Asks Pleasure First)は、今もときどき頭のなかを流れている。なにか、こう、つらいことを繰り返し、繰り返しやり続けてるときなど。

The Piano

The Piano

ピアノ・レッスン [DVD]

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 昨夜(ゆうべ)は、睡眠導入剤(ノイクロニック)を飲んでいないにも関わらず、また「Hulu」で海外ドラマ「LOST」(シーズン1)の15・16話を見たりして、3時半まで起きていたせいか、今朝の目覚めも悪く、Cと五部林が出かける前に、少し顔を見せて、五部林の着替えなどの支度も手伝ってあげて、…と思っていたのに、結局、出かける直前になって、五部林がいつものとおり、ぼくの寝ている別室に入ってきて、体の上に乗られて、まわりに積んである本を崩し始めたところで目覚めた。8時前。
 今週もまた、きょうから、土曜日(23日)まで、ふたりは兵庫・太子町のCの実家で過ごす。ふたりを玄関で見送ると、五部林は、母(C)と出かけることが嬉しいのか、「バイバイ、バイバイ」と言って笑いながら、ぼくに手を振る。
 その後、薬(「サインバルタ」30mg×2錠)を飲み、いつもなら、布団、プレステ3、(プレステ3をリビングのテレビにつなぐための)配線類などをリビングに持って、移動するのだけど、きょうは、移動することなく、別室にいたままで、こちらはいつものとおり、すぐにイオンネットスーパーで食料と、なくなっていた単4電池と、麦茶*1と、五部林の「おしりふき*2」も買った。
 午前中は、PCで「地上デジタルチューナー」(HDD付)をネットで物色。別室にあるテレビ(母が遺したTOSHIBAのブラウン管テレビ28ZP37)は、マンション自体がケーブルテレビ(J:COM)に対応しているせいもあって「デジアナ変換*3」してくれてて、2015年までは見ることができるし、それで十分なのだが、別室にずっといると、「もっときれいな画質で見たい」、「テレビ番組も録画して、好きなときに見たい*4」とぜいたくなことを思い始めたりもしていた。プレステ3があるので、「torne (トルネ) (CECH-ZD1J)」や「nasne (ナスネ) (CECH-ZNR1J)」がいいかな、とか、余計な買い物をしつつある自分を何度も制するのに苦労した。

nasne (ナスネ) (CECH-ZNR1J)

nasne (ナスネ) (CECH-ZNR1J)

torne (トルネ) (CECH-ZD1J)

torne (トルネ) (CECH-ZD1J)

 午後になって、テレビで大好きな「国会中継(参議院予算委員会)」を見る。そこで繰り返される「茶番さ」がとてもいい。ぼくをとても落ち着かせてくれる。
 きょうは、後半で、社民党福島みずほ議員が、明日から訪米する安倍首相に対し、日米関係、集団的自衛権などについて、いつものとおりの批判論調な質問を投げかけていたのだけど、画面に映った彼女の質問を聞く安倍さんの表情は、「うすら笑い」というか「苦笑」していて、ぼくは、ずっと社民党の良き理解者だと思っているけれど、彼女の口調は、どうしても受け付けられない。「生理的に無理」だ。首相の「うすら笑い」には、怒りを覚えないではないけれど、社民党は党首と、方法を変えた方がいい。
 その「国会中継」を見ていたら、眠くなって、14~16時前まで眠ってしまう。
 16時すぎに、イオンネットスーパーの配達が届く。配達のおじさんも、もうぼくを覚えているような素振り、表情だった。

 その後、先日届いた、坂元裕二・脚本/百瀬しのぶ・ノベライズ『ノベライズ 最高の離婚(上)』を読んだ。最近、ずっと毎週楽しみにしているドラマ「最高の離婚」、ぼくは3話からしか見ておらず、それでもだいたいの話は理解できるのだけど、1話と2話がどういう話だったのかを知りたくて、そして、4~6話も、もう一度文字で確認したかった。
 脚本のノベライズというものを普段読まないからか、やたらと「会話文」が多くて、誰が話している内容なのか混乱しながら、そして、「光生」(瑛太)を、何度も「先生」と読み間違えてしまったりしながら、1話と2話からの複線もわかったし、実際に見た4~6話も、そして、何より、ぼくがこのドラマに引き込まれてしまった4話の結夏の激白シーン*5も、改めて確認できた。実際のドラマでは、聞き流してしまう、あるいは、何を言っているのかよく聞き取れなかった台詞も、理解できた。それと、改めて、俳優たちが、脚本に忠実に台詞を言っているんだということが、よくわかった。

ノベライズ 最高の離婚(上)

ノベライズ 最高の離婚(上)

 夜になって、プレステ3の「Playstation Store」内の「Video Store」で、トニー・ギルロイ監督『ボーン・レガシー』(公式ページ)をレンタル購入して、見た。
 『ボーン・レガシー』は、マット・デイモン主演の『ジェイソン・ボーン シリーズ3部作』が好きだったぼくとしては、映画公開時から、ずっと見たかった作品だった。
 ボーンシリーズは、(ぼくに似ている、と勝手に思ってる)マット・デイモンが主演しているからこそ好きだった作品でもあるから、彼の出ていない作品はどうかなと思いつつ、見てみたら、アーロン・クロス役のジェレミー・レナーもなかなかさまになっていた。ジェレミー・レナーを見たのは、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』、『アベンジャーズ』、と、3作目で、彼は主役級の俳優ではないようにも思ったけれど、その地味さが良かったのかも。
 ただ、この作品では、まだ(きっと、これもシリーズ作になるのだろうと思うから)アーロン・クロスという人物の背景が深く描かれておらず、ただのヒーローアクション物(もちろんヒロインとの淡い関係アリ)の域を出ない、「007」シリーズを少し複雑にしたような、そんな作品だった。ジェイソン・ボーンマット・デイモン)にあった孤高さ、というか、「タフさ」、知能で困難を乗り切る、といった要素が足りなかった。
 ちなみに、「Video Store」でのレンタル購入代は400円。視聴は最初に再生してから48時間以内。この方法で映画を見たのは初めてだった。TSUTAYAなどで借りると300円ぐらいだから、少々高いけれど、借りに(返しに)行く手間は要らないし、借りられている心配はないし、便利かもしれない。ただ、どんどん引きこもれてしまうけれど。

The Ultimate Bourne Collection [Blu-ray]

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 23時頃、久しぶりの外出。
 先週(14日)、K病院への通院以来の外出になる。外出するのは、まだ、何か勇気がいる。とくに昼間は。まったくもって、引きこもり青年(もう「青年」でもないか)、そのまんまだと自覚しつつ、ゴミ袋を手に玄関を開けた。
 近くのデイリーヤマザキまで行って、雑誌を少し立ち読みして、タバコ(1カートン買いしてしまう)と、缶コーヒーとスナック菓子を買って帰る。久しぶりの街の風景は、この間見たときには柱しか立っていなかった新築の一戸建てに人が住んでいたり、砂利の更地が駐車場になっていたり、驚いた。
 この、ぼくの住む守口市という地域も、大阪市に隣接しているとは言いながら、ベッドタウンや「郊外」の要素も大きい*6三洋電機(現在はパナソニックの完全子会社)の本社があったり、近くにパナソニック(旧:松下)あるから小さな工場も多いが、他の同じ環境下にある街と同様、小売店や小さなスーパーはつぶれ、空いた場所は、そのままの「空き店舗」状態か、高齢者サービスの事業所が入り、少しあった畑も、いつの間にか更地になって、3階建てのどこにでもある四角い箱型の家がズラリと立ち並ぶか、月極めとコインパーキングを併用したような駐車場になっている。
 ぼくが生まれ育った(~18才)のは、隣接する寝屋川市で、名古屋でひとり暮らしを始めたり、神奈川、東京、兵庫、それから、30才のときに、大阪に戻ってきて、東大阪、大阪市(鶴見区)と移り住んできて、母の住んでいたこのマンションがある守口に住み始めたのは、母の死後1年経った2010年の夏だから、まだ2年と少し。ずっと、仕事から帰って寝るだけの場所だったが、去年8月に仕事を辞め、主夫になってからは、マンションの管理組合の理事をやったり(それは6月からだったか)、五部林を連れて、歩き回ったりして、愛着がだんだん沸いてきた。何か、この地で、この地に少しでも役立つことをやりたい、そう思ったりもして、仕事を辞めたのだけど、今は、外出するのにもひと苦労で、まったくそんなことを考える状況でもなくなっている。

 外出から帰宅して、DVDプレイヤー(DIGA)で視聴できる「アクトビラ」の「NHKオンデマンド」サービスに、先日(11日)、新聞でBSプレミアムで放送されるのは知っていたものの、去年夏から始まったマンションの改修工事のために、ベランダに取り付けてあったBSアンテナを取り外して以来、面倒でそのままになっていてBSが視聴できないため見逃した「100年インタビュー」の「脚本家・山田太一」の回を見つけたので、購入し(210円)、見た。
 「アクトビラ」サービスは、リビングにあるDVDプレイヤーを通してでしか見られないため、リビングの食卓に座って見始めたのだけど、89分の放送時間、何か講演を聞いているかのように、じっくり聞き入った。聞き手は、渡邊あゆみアナウンサー。
 幼少時の話(妻を亡くした父親が、戦後、何もかも失って、これまで経営していた食堂から、「指圧」の免許を取って、懸命に「生きるために」働いていたことに衝撃を受けた、など)、松竹に入社し、木下恵介の下で助監督になり、すぐにテレビ界で仕事をするようになり、当時の「可能性にあふれていた」テレビ業界の話。その後50年にわたってテレビドラマの脚本を書き続け、『男たちの旅路』(とくに第3部の第1話「シルバー・シート」や、第4部の第3話「車輪の一歩」) 、『岸辺のアルバム』、『ふぞろいの林檎たち』や、『日本の面影』、最近では、老いと東日本大震災をテーマにした『キルトの家』など、各作品についての背景など。

 ぼくが、山田太一の存在を知ったのは、たしか、10代の「不登校・引きこもり時」に夕方の再放送で『ふぞろいの林檎たちⅠ』がやっていたのがきっかけで、コンプレックスを抱えながら生きる登場人物たちにじぶんを重ねて、そこで話される台詞に共感を持ったときからだ。それから、他の作品も見たい、と思ったが、今のように、DVDもオンデマンド放送もない(テレビドラマのビデオすら出ていなかった)時代だから、図書館で彼の作品集を借りて、それはほとんど「脚本」のかたちで書かれていたのだけど、ほとんど全部読んだと思う。今、思えば、16、7才のぼくが、その作品集を読んで(大人のドラマ・家族のテーマを)理解できたことなどほんとに少ないと思うのだけど、このインタビューのなかでも彼自身が「積極的な話は好きじゃない」、また「~する、~した、ということで人は評価されがちだが、~しなかったということで評価されてもいい」と言っていたように、敗者、というか、弱者の視点、それから、人々の日常にある平穏さのなかにある陰のドラマを読み取っていたのだと思う。その後、ぼくは、何度か彼に手紙を出し、返事ももらえたりもしたり、山田太一脚本のドラマがテレビで(再)放送されていれば、それを見たし、『早春スケッチブック』は、DVDをヤフオクで落札して、見た。
 お金と時間があれば、DVD化された『岸辺のアルバム』(Amazonで20,979円!)など、見てみたいとずっと思ってきた(お金はないけど、今はとりあえず時間はあるから、見るなら今、か? 「家族」に悩むぼくが、見るなら、今か?)

 その後、インタビューは、テレビの「今」について問われた山田は、なんでも満たされているこの社会のなかで、「もっと飢餓感のようなものが描けるといい」と言い、また、「テレビは、多くの人を相手にするメディアであり、『中間』を狙う使命のようなものがあるのだから、そのメディアの特性を活かして、もっと、『中間』、社会のバランスをとれるようなメディアになるといい。輪転*7のような役割、未来と過去、強者と弱者、勝者と敗者、幸福と絶望の。単なる保守主義であるとか、回顧主義ではなく」というようなことを語っていた。
 山田太一の今のテーマは「老い」なのだという(彼がすでに78才にもなっているということに、ぼくは素直に驚いた)。それから、今後、もしできるのなら「ファンタジーを書いてみたい」とも。


ドラマ「車輪の一歩」

男たちの旅路 第1部-全集- [DVD]

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岸辺のアルバム DVD-BOX

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ふぞろいの林檎たち DVD-BOX

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日本の面影―ラフカディオ・ハーンの世界 (岩波現代文庫)

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キルトの家 [DVD]

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山田太一作品集 (3)

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早春スケッチブック DVD-BOX

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 さて、もう5時だ。そろそろ寝よう。

*1:冬でも五部林が飲めるお茶はノンカフェインの麦茶だけなので、ずっとティーバックを購入してる

*2:生まれてからずっとアカチャンホンポの「おしりふき」 http://item.rakuten.co.jp/akachanhonpo/440000100/ をまとめて購入していたのだけど、今回はイオンの「トップバリュ」ブランドのものにしてみた。

*3:http://www.jcom.co.jp/services/tv/digiana.html

*4:今でもリビングのDVDプレイヤー(DIGA)にDLNAサーバ機能、プレステ3DTCP-IP機能が付いているので、別室でもDIGAに録画した番組は見ることができるように設定した

*5:http://sube.hateblo.jp/entry/2013/02/15/144811

*6:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%88%E5%8F%A3%E5%B8%82

*7:と、言ったようにぼくには聞こえた。聞き間違いかもしれない