その覚悟ができないのが、男
昨日、というか、今朝、8時過ぎに寝て、11時半頃目を覚まして、あっという間に、もう1時AM前。
3時間ぐらいしか寝てないので、もう眠いけど、きょうは、なんだかとても活動的だった。もちろん、最近のぼくにしては、という限定で。
昨日、SONYの「Music Unlimited」は、iTunesとは違って、いちいち購入しなくても良いし、ストリーミングで聞けるから便利」と書いたけど、そういえば、iTunesにも、左のメニューバーに「ラジオ」という機能があったよな、と思って、改めて開いてみると、そこにはなくて、どうやって聞くのかわからなかったので、ラジオアプリを探したら、「TuneIn Radio」というアプリを見つけて、それで今、Ottava Radioをストリーミングで流しながら、これを書いている。快適。
それにしても、iTunesから「ラジオ」が消えたのって、いつからなんだろう? 設定すれば済むことなのか?
■
きょうが、どう「活動的」だったのかというと、物欲というか、買い物依存的に、という面と、でも、それが、きっかけになって、少しぼくが「開かれた」ように思う面。
昨日、「アクトビラ」の「NHKオンデマンド」サービスで、先日(11日)放送された「100年インタビュー」の「脚本家・山田太一」を見て、やっぱりどうしても『岸辺のアルバム』が見たくなったので、Amazonで購入。20,979円也。
一旦、勢いがつくと、もうなんだか購買欲がどんどん出てきてしまい、ずっと気になってた「nasne」も欲しくなって、ただ、いろいろと不明な点があったので、PlayStationのインフォメーションセンターの「チャットで質問」ページから、オペレーターにチャットで質問して、それとは別に、以前(16日)、「問い合わせフォーム」から質問した「サインイン/サインアウト」の通知(表示)について*1の回答がまだもらえていなかったので、「時間かかりそうですか?」と訊いたら、「どうやら受け付けられていないみたいです」と言われたので、それもチャットで質問し、結局、やっぱり、プレステ3でサインイン/サインアウトしないと使えないサービスは、すべてフレンドに通知・表示をされてしまい、されないようにする設定はないという結論。残念。
その後、「nasne」(公式サイト)は楽天ブックスで、そして、どうしても今のプレステ3の容量(CECHH00シリーズ・40GB)だと、HDDの容量を気にしないといけないので、1TBのハードディスク(じぶんで交換しようと思って)、それから、「nasne」をつなぐなら必要な、USBハブをAmazonで購入(そんなことをしていたら、世の中では「プレイステーション4(PS4)発表*2」とか言ってて、驚いたけど)。
んでもって、HDDを交換するための準備を解説してくれてるページ*3を見ながら、以前、購入した外付けHDDに、今のプレステ3のバックアップとって、さらに、「nasne」を宅内や外でのネットワーク環境で快適に使うために、「iPhone/iPadで「nasne」をトコトン楽しむ!」*4というページを見ながら、事前に必要なアプリ(「Twonky Beam」や「S-Entrance」や、iPad用に「RECOPLA」)をダウンロードしたり、「Gガイド.テレビ王国CHAN-TORU」に登録したりした。
それから、ひと息つく暇もなく、そういえば、母が遺したNECのVistaのノートPC(LaVie LL570/HG)があまりにも処理速度が遅くて、ほとんど使っていなかったけど、なんとかならないかと思い始め、ネットを検索したら、CPUの交換まではなんだか無理そうだったので、とりあえず、メモリをじぶんで増設してみようと、適合機種やらをもんのすごく時間かけて調べて「増設メモリ」も買ってしまった次第。んでもって、メモリ増設の前に、処理速度を早める方法があるんではないかと、要らないソフトやファイルを削除したり、削除してしまうにはもったいない写真やファイルを「Googleドライブ」にアップロードしたり、そしたら、アップロードしっ放しだった「Googleドライブ」のファイルやフォルダを整理したくなって、だいぶ時間かけてした(あとから、「むしろ、Windows8にアップグレードした方が良かったんじゃないの」と思ったけど)。
そんなことをしていたら、いつの間にか、すでに22時ぐらいだった。
時間があるというのは、こういうことか、と思った。非生産的な日々を送ってるから、生産的なことをしたくなるんだな、普段滅多にしない「問い合わせ」をしたり、要望(リクエスト)をしたり、そして、生産的なこと=社会的なこと=今のぼくの場合は「お金を遣う」「物を買う」、買い物依存症というものがあるとは聞いたことはあるけれど、こういう気分なんだろうか、と思った。
楽天ブックスでは、ほかに、 加藤典洋『ふたつの講演――戦後思想の射程について』、井上達夫『世界正義論 (筑摩選書)』、平田オリザ『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)』も買ってしまった。
きょうで、無職で、うつのぼくが、どれくらい散財したかは、あえて、計算しないでおくことにした。
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22時になって、今、ぼくが唯一、積極的にしたい行為である、ドラマ「最高の離婚」を見る、という行為は気にはなったが、DVDレコーダーに録画されているので、大丈夫だろう、と思い、気分が高揚していた(躁?)のをいいことに、ずっと気になっていたことにとりかかった。
ずっと気になっていたことというのは、
だった。
まずは、Iさんへのメール作成。
とても、iPhoneで入力できるような内容・長さにはならないと思ったので、PCで入力し、iPhoneにメールし、それを転送する方法をとった。返事が遅くなったことを謝って、ぼくが「うつ」であること(たぶん、彼女はわかっていると思ったが)など現状を報告し、且つ、今、彼女自身が、彼女の父親の件で「大変なこと」になっているので、どう言っていいかわからなかったけど、正直に思いを書いて、送信した。
それから、とてつもなく久しぶりにfacebookにログインし、「主夫」友のWさんへのメッセージ作成。
彼は、ぼくと同い年(学年はひとつ上だったか)で、9才と5才(?)のふたりの娘さんの父親であり、上の娘さんが生まれて少ししてから主夫になった経歴をもつ大先輩で、もともと、9月にクレオ大阪東の子育て(親)支援イベント(「ノーバディーズ・パーフェクト講座*5」)に参加したときに、その講座のファシリテーターだったEさんに、「大阪でも主夫やってる人いますよ」と教えてもらい、facebookで検索してみたら、偶然見つかって、facebookを通じて知り合い、Wさんもすぐに「家に遊びにきますか?」と言ってくれ、ぼくは五部林を連れて、何度か彼の箕面のお家にお邪魔して、それはそれはとても貴重な「同志」であり、主婦ではなく「主夫」でしかわからない細かな「あるある」を言ったり、いろいろとアドバイスをしてもらったり、彼が参加している父親の子育て支援を目的とした団体のイベントにも誘ってくれたりしていて、ずっと、facebookを更新していないぼくを心配してくれて、年明けもなんどかメッセージをもらっていたのだが、ずっと「調子が悪い」としか言えなくて、先週は「今度、また我が家に来ますか?」とも言ってくれていたのに、返事ができずにいたので、今夜、やっと書けた。
彼には、Iさんへの報告、プラス、ぼくがずっと悩んでいる「父親であること」「家族・家庭への恐怖」についても書こうかとも思ったけど、ずっと音信不通だった男から、突然、「うつ」であることを報告され、さらにそんなことを打ち明けられても困るだろうと思って、止した*6。
そして、次にずっと更新停止していたfacebookのタイムラインの更新。
これは、「公開範囲」にとても悩んだ。普段から、「公開範囲」は、ほとんどC以外(!)の「友達」のみにしていたけれど、顔も知らない「友達」にまで報告することはないだろうと思い、そこで、誰に言う/言わないを考えたり、設定をしようとしてみたりしたけど、だんだんバカらしくなってきて、仕事関係で知り合った「友達」以外には、ほとんど公開することにした。
以下、facebookに書いた、そのまんま、コピペ。
こんばんわ、お久しぶりです。
今、読み返してみると、ぼくがタイムラインに「まともな」投稿をしたのは、1/1で止まってます。
それまで、狂ったように、場所を移動する度、何か思いつく度に更新してきたぼくだったので、突然更新が止まり、どうしたんだろう? と、思ってくれていた方、それで実際に、メッセージなどいただいた方、何の反応もせずに、ほんとうに、ごめんなさい。その「兆候」は、すでにもっと前からあったのは自覚していたのですが、クリスマス前のトーキョー旅行、それから、お正月という、非日常感を味わった年末以後、ぼくのなかで「モヤモヤ」していたものが、どんどん大きく練り固まり、年明け早々、ドシン、と、重い石のような存在になり、一歩も動くことができずにいました。
簡単に言えば、「鬱(うつ)」になっていました。今もまだ「なっています」。
いろんな方からのメッセージやお誘いに「調子が悪い」とだけしか返事ができず、いや、まだ返事ができていたら良い方で、何も連絡しないまま、失礼した方もいて、ほんとうに申し訳ありません。
* * *
一歩も動けなくなる少し前から、育児も家事も、ほとんど投げ出してしまって、Cと五部林には、今もずっと迷惑をかけています。
週のうち、半分ぐらいは、Cの実家で、お義父さん、お義母さんに五部林の面倒を見てもらい、あとは、一時保育なども利用しながら、ぼくは、なんとか週1日だけ、五部林と過ごすようにしています。その後も、五部林は元気です。
この冬も、まだ風邪ひとつひかず、1才7ヶ月を向かえました。先日の、「1歳6か月児健康診査」では、「言語発達に少し遅れがある(問題のない範囲らしいです)」(左利きだから? という噂もあり)のと、むし歯の予測検査(カリオスタット検査)の結果で「【2+】危険です」と言われたぐらいです。
あとは、何も関わろうとしない父親(ぼく)を、嫌がる傾向にあり、抱き上げると、号泣する。当然の報いだと思ってます(泣)。Cも、週半分は2時間以上かけて実家から通勤しているし、自宅にいるときも家事はほとんど全部やってくれているので、少し疲れているようで、申し訳ないのですが、お義父さん、お義母さんも含めて、そして、Cの職場の方にも、ものすごく協力してもらって、ほんとうに助かっています。
* * *
1/18に、近くのK病院に行って診察を受け、それから、2週に1度の通院。
担当のI医師は、金正男(キム・ジョンナム)似の、いい人です。
先日は、ぼくのことを「あなたは(回復すれば)きちんとできる人だから」と、言ってくれ、ちょっと誤診だという気もしますが、とりあえず、信頼しています。今は、抗うつ薬(サインバルタ)と睡眠導入剤(ノイクロニック)を飲み続けています。
睡眠導入剤は、もんのすごく眠くなって、翌日も何もできない状況が続くので、医師に相談したら、「眠れているのなら、飲まなくてもOK」と言われたので、ほとんど飲まずにいます。
そして、抗うつ薬が効いているのか、寝ていることに飽きてきたのか、少しずつではありますが、なんとか『外』に目が向くようになってきました。
* * *
こんなぼくを知っている方は知っていて、最近知り合った方は知らなくて驚かれたかもしれませんが、もともと、ぼくは、「鬱(うつ)」気質であり、これまでも何度か、こういう状態になったことはありました。
でも、ここ10年ぐらいは、こんなに重くなったことはなかったので、じぶんでも、とても驚き、Cと五部林がいるなかで「発症」したことに、とても情けなく思いました。
でも、今は、こうして「寝ているほかない」、と思い、Cや五部林をはじめ、いろんな人に協力してもらいながら、回復を待っている状態です。たぶん、今後、また少しずつ、タイムラインを更新していけると思うので、たまには覗いてやってください。
こんなことを公の場で書くこともないのですが(そして、さっき、この投稿の公開設定を限定しようといろいろといじってみたのですが、よくわからなくなってきたので)、何も連絡しないでいる方々に失礼を続けているわけにもいかないと思って、書くことにしました。
* * *
ぼくに、とくに「励まし」は必要ないです(笑)。
どうか、Cと五部林を直接知ってる方は、ふたりに声をかけてもらえるとうれしいです。
(この投稿は、Cには読めないようにしてる[つもり]なので、さりげなく、声をかけてもらえると、尚、うれしいです)とくに、五部林は、父親が毎日寝ているわ(寝ていると、彼が上に乗ってきて起こされます)、いろんなところに連れまわされるわ、で、相当戸惑っているんじゃないかと思います。
では、では。
みなさん、ありがとう。これからも、どうぞよろしくお願いします。(長文で失礼しました)
このタイムラインを更新して、すぐに「いいね!」をしてくれたのは、小学校時代からの幼なじみのNちゃんで、とてもうれしかった。
こちらとしては、やっぱり、けっこう緊張して「表明」したわけでもあり、どんな反応があるのか/ないのか、気になっていたので、その「いいね!」は、限りなく「いいね」に近い「いいね!」だった。
それから、NちゃんはLINEにも「facebookみたよ!気分が外に向いた日には、声かけて/お茶にでも行こう」とメッセージをくれた。
facebookのタイムラインを見ると、きょうは、Nちゃんの長男(3人目)の1才の誕生日だった。
さらに、Twitterには、以下のような投稿をした。
年末から、その兆候のあった「鬱(うつ)」から、やっと少しずつ抜け出せてきそうな、微かな糸みたいなものが目の前に垂れてきています。育児も家事も全部ほっぽり出して、臥せっている日々です。ぼくには、いろんな「覚悟」がありません。まだ時間がかかりそうですが、なんとか大丈夫です。
(つづき)Cと五部林には、それから、周囲の人にも、ぼくの「鬱(うつ)」をぜんぶおっかぶして、ほんとに迷惑をかけていますが、今は「寝ているしかない」と思い、寝ています。プレステ3なんかも、4~5年ぶりに起動したりしていて、いったい何してるんだか、と自分でも呆れます。
この「鬱(うつ)」を期に、ずーーーーっと更新停止(あるいは、つぶやきのまとめサイトと化していた)日手紙*7を、また別のページで書き始めています。今はまだ「自分のみ公開」ですが、そろそろ広く公開してもいいかもと思い始めています。どちらにせよぼく以外、ほとんど誰も読まないだろうし。
投稿したら、すぐに返事をしてくれたのは、Nくんだった。「お久しぶり~」と、軽く。これもまたうれしかった。
facebookにしても、Twitterにしても、「です・ます調」で書いているのが、ぼくの「緊張」具合を示しているな、と、投稿してから思った。
■
facebookやTwitterに投稿している間に、メールを送ったIさんから、さっそく返事が届いた。
彼女は、やはり、ぼくの「うつ」をうすうす予感していて、それが「わかって」良かったと書いてくれており、続けてこんなことも書いていた。
「ねばならない」が、他人の命に関わってくるものだと、本当に壊れる限界になると思う。そこでなぜかものすごい覚悟ができるのが、女だと思う。その覚悟ができないのが、(中略)男。
Cちゃんは若いし、○○(ぼくの名前)のことはわかってるから安心してるけど(だって女の子だし)、どんな状態でも五部林はは○○の子だから、父からは逃げられないよ。でもって、それは羨ましいな。
そうなんだろうか。そんなふうに割り切ってしまっていいものなんだろうか。性差なんだろうか。
それは、残念でもあり、悔しくもあったけど、なぜか、ぼくにとって、安心できるものでもあった。「あなたは、免許がないんだから、うまく運転できなくても仕方ないよ」と、言われた気がして。少し違うけど。
そして、「父からは逃げられないよ」っていうのも、ドキリ、とした。
ほかにも、彼女自身のことも報告してくれてて、そのメールを読んだとき、これは、以前から思っていたことだけど、「いつから、彼女はこんなにも大人で、知ったかぶりではなく、経験として、自身のことばとして、人にじぶんの思いを伝えられる仕方を身に付けたんだろう」と。簡単に推測できるのは、それは、彼女の、この10年ぐらいに起きて、今も起きている、遠くのぼくには「気の毒」としか言いようがない「のっぴきならない事情」がそうさせたのかもしれない。でも、それだけではないとは、もちろん思う。
つよいな、そう、思った。
■
「ずっと気になっていたこと」を、とりあえずやり終えたので、気分がすっきりした。
メールの返事、facebookやTwitterの投稿、それは、ほんの些細なことかもしれないけど、今のぼくにとっては「大仕事」だった。大切に思っている人、これからも関係を続けていきたい人に対して、どうしても身構えて、先走ってしまう。
でも、これって、今までのどんなことでもそう思ったけど、思っている以上に、「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい (ちくま文庫)」のかもしれない。裸になって飛び出せば、なんてことはない、寒さだったどころか、暖かいのかもしれない。そんなふうなことを思った。
そういえば、昨日の「100年インタビュー」の「脚本家・山田太一」で、ドラマ『男たちの旅路』、第4部第3話「車輪の一歩」で、山田太一は、吉岡(鶴田浩二)の「迷惑をかけてもいいんじゃないか?」という台詞について語っていたことを思い出した。
以下は、「フルタルフ文化堂」というブログの12/10のエントリ「他人に迷惑をかけてもいいじゃないか*8」で書き起こされたものを、転載(無断で申し訳ありません)。
以下、吉岡が障害者の若者のひとり、川島(斎藤洋介)と会話するくだり。
吉岡「言いにくいというより自信がない。君たちは、いろんな目にあっている。私たちは、それを想像するだけだからね。見当はずれだったり、甘かったりしてしまうかもしれない」
川島「それでもいいんです。本気で言ってくれるのだったら、聞きたいんです」
吉岡「君たちは、丈夫で歩き回れる尾島君と妹にとりついて、迷惑をかけてやろうとした。車椅子の人間が、どんな気持ちで生きているか、思い知らせてやろうとした。それをいいとは言えない」
川島「(うなずく)」
吉岡「そんなふうに恨みをぶつければ、結局は自分が傷つく」
川島「(うなずく)」
吉岡「しかし、だからといって、アタマから人に迷惑をかけるなと、聞いたふうな説教はできない」
川島「――」
吉岡「あの晩には、まだそれほど考えが熟さなかったが、いまの私はむしろ、君たちに、迷惑をかけることを恐れるな、と言いたいような気がしている」
川島「――」
吉岡「これは私にも意外な結論だ。人に迷惑をかけるな、というルールを、私は疑ったことがなかった。多くの親は、子供の、最低の望みとして『人にだけは迷惑をかけるな』と言う。のんだくれの怠けものが『俺はろくでもないことを一杯してきたが、人様にだけは迷惑をかけなかった』と自慢そうに言うのを聞いたことがある。人に迷惑をかけない、というのは、今の社会で一番、疑われていないルールかしれない」
川島「――」
吉岡「しかし、それが君たちを縛っている。一歩外に出れば、電車に乗るのも、少ない石段を上るのも、誰かの世話にならなければならない。迷惑をかけまい、とすれば、外に出ることが出来なくなる」
川島「――」
吉岡「だったら、迷惑をかけてもいいんじゃないか? もちろん、いやがらせの迷惑はいかん。しかし、ぎりぎりの迷惑は、かけてもいいんじゃないか。かけなければ、いけないんじゃないか」
川島「――」
吉岡「君たちは、普通の人が守っているルールは、自分たちも守るというかもしれない。しかし、私はそうじゃないと思う。君たちが、街へ出て、電車に乗ったり、階段を上がったり、映画館へ入ったり、そんなことを自由に出来ないルールは、おかしいんだ。いちいち、うしろめたい気持ちになったりするのはおかしい。私は、むしろ堂々と、胸をはって、迷惑をかける決心をすべきだと思った」
川島「そんな事が通用するでしょうか」
吉岡「通用させるのさ。君たちは、特殊な条件を背負っているんだ。差別するな、と怒るかもしれないが、足が不自由だということは、特別なことだ。特別な人生だ。歩き回れる人間のルールを、同じように守ろうとするのは、おかしい、守ろうとするから歪むんだ」
川島「――」
吉岡「そうじゃないだろうか?」
ぼくは、今、ぼくが、Cや五部林や、Cのお義父さん、お義母さん、それから、Cの職場の人たちに向けて、「迷惑をかけている」行為を正当化したいわけでは、もちろんない。
ただ、「迷惑」といっても、「誰か(の日常)に不幸なマイナスのことばを投げかけること」という、非難や批判ではなくとも、悩み、困っていることを打ち明ける、というようなことでも、ぼくはその人に対して「(面倒をかけてしまって)迷惑だ」と思ってしまう。ぼくの錯覚でなければ、世の中もそういう風潮だと思う。facebookには「いいね!」ボタンしかないように。
でも、むしろ、「マイナスのことばを投げかけること」から、その人との関係性は深まったりする。
ずっとそう思って、ぼくは、何度もそれで失敗もしてきて、「もう無関心でいよう」とか「じぶんのことは話さないようにしよう」とか数え切れないくらい思って、「無関心」と「じぶんのことは話さない」(他者や外部との関係を断つ)の極みが、こうして「うつ」や引きこもり状態になって現れているのかもしれないが*9、でも、やっぱり、それをすることによってしか、何かは始まらないし、終わらないのかもしれない。
大切に思っている人にほど、そういうことは、なかなかできないのだけれど(もちろん、離れていかれるのがこわいから)。だから、Cにも、なかなか話せない。
ぼくは「父を語ることができない」、ずっとそう思ってきた。それは、ぼくの親「父」についてであり、ぼく自身にとっての「父」という立場について、その両方について。でも、その「語ることができない」ということを「語る」ことによって、なにかが変わるのかもしれない。
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*1:http://sube.hateblo.jp/entry/2013/02/16/072622
*2:http://www.jp.playstation.com/playstation2013/
*3:http://ps3avfunc.blog29.fc2.com/blog-entry-71.html
*4:http://ascii.jp/elem/000/000/763/763711/?crank
*5:http://homepage3.nifty.com/NP-Japan/
*6:Wさんは、とても子ども好きであり、「きちんと」子どもと遊んでる姿を何度も見たし、正直、ぼくの、こういう「前提」みたいなことで悩んでることは、理解してもらえないかも、という恐れもあった
*7:この「〒カワチ日手紙〒 -外-」のこと
*8:http://d.hatena.ne.jp/furuta01/20121210/1355265268
*9:その割には、この日手紙では「じぶんのことばかり」話しているのは自覚してます