〒カワチ日手紙〒- 外 -

「あえて」以降の、生きる仕方の試みの記録。「父」像、「家族」像への試み。文中に出てくるCは妻で、五部林は息子です。

空港にて

 きょうは、Cの32才の誕生日。そして、もちろん、2011年の「3.11」からもう2年。

 昨夜(ゆうべ)は、夕食後もプレステ3を起動して『大神 絶景版』をプレイ。結局、2時すぎ(!)まで。
 第一章の「ヤマタノオロチ」につづく、第二章の大ボスの「キュウビ*1」を倒して、「はぐれ珠」集めたりして、それから、第三章の舞台でもある「カムイ」まで行って、「オキクルミ*2」との戦いが終わったところでセーブして、やめた。

大神 絶景版

大神 絶景版

 寝ようと思って、トイレに行ったら、まだリビングの灯りが点いていたので覗いてみると、Cもまだ起きていた。「誕生日おめでとう」と声をかけて、それからまた別室に戻って、nasneに録画しておいたドラマ「最高の離婚」(9話)を見た。
 先に見ていたCから、「今週の話は、かなり良くて泣いた」と聞いていたので、少しドキドキしていたけど、灯里(真木よう子)の家で、4人で話すシーンは、たしかに良かった。結夏(尾野真千子)が「オナラで返事もできますよ」と言って、お尻を突き出すシーンは「何もそこまでやらなくても…」と思ったけれど、光生(瑛太)の「家族の『キャンプ感』」の台詞とか、グッときた。
 今回の話での会話は、なんだか山田太一ドラマを見ているような台詞の言い回し(応酬)だと(良い意味でも悪い意味でも)思って、もしや、演出は(脚本家の山田太一を父にもつ)宮本理江子の担当回か? と思ったりもしたけど、エンドロールを見ると、宮脇亮という人になっていて、そのグッときた4人のシーンも、ほかの演出者だと、もう少し違った、もっと、グッとくるシーンになったのではないかとも思った。
 このドラマの音楽(担当:瀬川英史)も気になってきた。何気なく流れていて、映像をじゃましない。サントラ聞いてみたい。それに、もう少しで『ノベライズ 最高の離婚(下)』も発売されるみたい。
 で、結局、昨夜寝たのは3時すぎ。

ノベライズ 最高の離婚(下)

ノベライズ 最高の離婚(下)

 今朝、7時すぎ起床。
 きょうは、週に1度の、ぼくが五部林をみる日。

 Cを見送ってから、洗いもの、それから洗濯ものを干し、五部林を着替えさせて、薬(「サインバルタ」30mg×2錠)を飲み、いつもの通り、テレビを点けて、「おかあさんといっしょ」、「パッコロリン」、「いないいないばあ」、と、五部林に見せながら、今週も外出のための支度。
 今週は、どこへ行こうかと迷ってたけど、ずっと「五部林を(大阪)モノレールに乗せてあげたい」と思っていて、じゃあ「モノレールに乗ってどこへ行く?」と考えて、万博記念公園は前に行ったことがあるし、ということで、大阪(伊丹)空港に行って、飛行機も見せてあげようと、昨夜思い立った。
 外が寒いんだか暖かいんだかわからなくて、いつも五部林に着せている上着も見当たらなくて(後からCに聞いてみたら、実家に置いてきたらしい)、ベストだけ着せたのだけど、外に出てみるとやっぱり寒くて、いったんエレベーターで下まで降りて、ゴミ出しまでしてから部屋に戻って、厚手のジャンパーを着せた。

 9時半頃、五部林をベビーカーに乗せて出発。大阪モノレールの大日駅まで、国道1号線沿いを歩いた(約2km)。
 駅のホームで電車を待っている間、五部林は初めての場所でキョロキョロしており、ホームから見える近畿自動車道を走る車たちを楽しそうに眺め、実際にモノレールの車両が来ると、目を丸くして喜んでいて「あー、きょうも出かけて良かった」とすでにこの時点で思えた。

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 先頭の車両に乗り込むと、ちょうど運転席のすぐ後ろの席が空いていたので、ベビーカーを畳んで、五部林を膝の上に乗せた。ぼく自身も、その席は初めてだったので、見晴らしのいいその席はものすごく興奮した。途中、万博記念公園に近づいてきたとき、澄み切った青空の下に太陽の党が見えたときは、とくに。

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 大阪空港駅までの約30分間、五部林は途中でだんだん飽きてきたようだったけど、擦れ違うモノレール車両や、車窓から阪急電車JR京都線、それから新幹線まで走るのが見えて、その度に指差して「デンチャ、デンチャ」とはっきりとした発音ではないけれど、聞き取れるような声を発していて、ぼくが「あれ、阪急電車やで」と言うと、初めて「ハンキュー」とも言った。
 途中の駅では、先頭車両のぼくらが座ってる席目がけて、子どもたちが乗ってきたりして、五部林を膝の上に抱いてれば、もうひとり座れるから、譲ってあげようかとも思ったけど、「ここ、座る?」と声をかけるタイミングがつかめなくて、結局、ぜいたくにもずっとその席をぼくらが独占していた。

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 大阪空港駅に着いて、ベビーカーに五部林を乗せて改札に向かおうとしたら、五部林はエスカレーターが気になったようで、さすがにひとりで立たせて降りるには危険なので、片手で五部林を抱いて、もう一方でベビーカーを持って降りた*3
 駅から空港に向かう途中で、五部林はさっそく空港リムジンバスが気になって、「バスー、バスー」と叫んで走り回って、とても楽しそうだった。伊丹空港内に入って、すぐに4階の展望デッキ(ANA側)に登ってみると、たくさん飛行機が止まっていて、少し経つと着陸する、それから離陸する飛行機もあって、こんなに近くで飛行機を見るのは、五部林にとって生涯初なので、きっとどんな乗り物なのか理解しがたいだろうな、と思っていたけど、離陸する飛行機を目にすると、それなりに楽しんでくれていたようにも見えて、でも、いちばん興奮していたのは、着陸した飛行機から荷物を降ろして走る移動用のヘビみたいに連なった車を見たときだった。
 展望デッキには、平日の昼間でもわりと人はいて、ぼくらのような小さな子ども連れもいたし、望遠レンズを付けたカメラを持って、写真を撮ってる人もいた。

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 しばらく展望デッキでのんびりして、自動販売機でQooのリンゴジュースを買って、五部林に飲ませてみると、自分で飲みたがったのでわたしたら、まだペットボトルからうまく飲むことができなくて、飲み口を丸ごと全部銜(くわ)えて飲み始めて、ぼくが飛行機をぼんやり眺めていて目を離していると、半分以上、こぼしており、服もズボンもビチョビチョになっていたので、車椅子用のトイレに入って(おむつ換えシートがある)着替えさせたり、誰彼かまわず寄っていって、ニコニコしたりするので、けっこう慌しかったけど、とても楽しかった。
 展望デッキをANA側からJAL側に移って、そこで昼食。風が強く、弁当箱の蓋が飛んでいってしまうほどだった。
 それから空港内の店をブラブラして、「飛行機ちびっ子セットANA*4」を買ってあげて、さらにブラブラしていると、いろんな飲食店からいろんな「いい匂い」がしてくるので、その度、五部林は「マンマー、マンマー」と身を捩じらしてごねた。

 帰りは、せっかくだから、空港リムジンバスに乗せてあげようと思い、直近の13:55発の上本町行きのバスの発車には、まだ少し時間があったので、空港内の書店(スカイブック大阪空港店)などに行って時間をつぶしていると、さっきまで「とっさに使える韓国語会話集」みたいな本をベビーカーの中から手に取ろうと必死だった五部林がいつの間にか眠ってしまっており、バスに乗り込んでも起きずにいて、起こしてあげるのもかわいそうかなと思って、そのままずっと、上本町まで、ぼくの胸の上で気持ち良さそうに寝ていた。
 空港内を歩いていると、その光景に、何年も前に読んだ村上龍空港にて (文春文庫)』を思い出したりもした。ちなみに、書店で気になったのは、山崎ナオコーラお父さん大好き (文春文庫)』、河合隼雄・柳田邦男『心の深みへ: 「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)』、宇野常寛日本文化の論点 (ちくま新書)』など。

空港にて (文春文庫)

空港にて (文春文庫)

お父さん大好き (文春文庫)

お父さん大好き (文春文庫)

心の深みへ: 「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)

心の深みへ: 「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)

日本文化の論点 (ちくま新書)

日本文化の論点 (ちくま新書)

 上本町に着いて、そういえば、先日、Cが「五部林の保育所入所にあたって、毎日持っていく着替えが必要になるけれど、肌着や、上の服はあるけど、ズボンがない」と言っていたことを思い出したので、上本町YUFURA無印良品に入って、「お手頃価格」になっていた「ドットタイパンツ」や、ついでにパジャマも購入。
 それから、YUFURA内のUNIQLOにも寄って、肌着や、さっきパジャマを買ったばかりなのに、かわいい車柄のパジャマも。自分用に、値下げしていたスウェットも購入。

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 その後、上本町駅近くにあるなかたに亭に寄って、Cの誕生日ケーキを買って帰ろうとお店に行ったら、きょうは定休日だった。
 実は、なかたに亭には、2年前の「3.11」の日にも仕事帰りに寄ってケーキを買って帰っており、ケーキを買った後に地下鉄の駅まで向かう途中で、人生初の「号外」を受け取ったりもして、そのことを思い出したので、寄ってみたのに、残念だった。



上本町の駅で号外が出てました。生まれて初めて号外を受け取るのが、こんな災害のことでなんて。... on Twitpic

 それから、そのまま谷町九丁目の駅まで歩いて地下鉄で帰ろうかとも思ったけど、五部林は地下鉄ではあんまり楽しくないだろうと、上本町から歩いて、JR鶴橋駅まで。鶴橋からはちょうど来た大和路快速に乗ったら、ぼくらは座れたけれど、かなり混んでいて、ベビーカーがものすごくじゃまで気を遣った。
 京橋駅で京阪に乗り換え、準急に乗って守口市駅まで。
 駅のそばにある京阪百貨店に入り、Cの誕生日ケーキを、以前、ママ友から「おいしかった」という話を聞いた地下のジャンルプランで購入。
 購入する際、Cから借りている「e-kenetカード」を出そうと思ったら見当たらなくて、そういえば、店に入ったときに「おけいはんポイント」の交換有効期限が3月末で切れるという貼紙があったので、交換機で商品券に交換した際に取り忘れたのだと思い、慌てて戻ったけれど、カードは見当たらず、クレジットカード機能が付いているカードなので、「どうしよう、すぐにカード会社に電話して取引されないよう止めてもらおうか」と思っていたところに、「守口市からお越しの○○(Cのフルネーム)様。お尋ねしたいことがございますので、近くの係員までお声をかけてください」という店内放送がかかり、すごく驚いたけど、カードを届けてくれた人がいたのだと思い、カウンターに行って、「さきほど、店内放送で呼び出していただいた○○の夫なんですけど、妻からカードを借りていて…」と説明したら、電話番号やCの誕生日などを答えると、返してくれた。
 すぐにCに「e-kenetカード失くして、すぐに見つかった。ごめん」とメールしておいたら、「さっき、京阪百貨店から電話があって、出られへんかったんやけど」と返事がきた。

 17時すぎに帰宅。洗濯物を取り込み、食事の用意をして、18時すぎに、五部林と夕食。その間、五部林は、空港で買った「飛行機ちびっ子セット」のおもちゃでものすごく楽しそうに遊んでいて、これまですべて4輪の乗り物は「バス」だったのに、初めて「トラック」とも言っていた。
 Cから「会議が長引いて少し遅くなる」とのメールが届いていたので、19時すぎに、五部林と入浴。

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 入浴中にCが帰宅して、そのまま、Cが五部林を寝かしつけ、すぐに眠ったので、ふたりでささやかな誕生日パーティー(Cはまず、夕食を食べて、ろうそくを消した後、ぼくが先にケーキを食べた)。
 誕生日プレゼントとしては、先日、ネットの「ナチュラルセット」というお店で、「three rings ネックレス」を購入しており、メッセージカードを付けて渡した。
 メッセージカードには何を書こうか迷ったけれど、

 おたんじょうびおめでとう。Cと知り合って、もうすぐ約10年。
 こんなにも長くいっしょにいてくれるなんて思わなかった。ありがとう。

 と、書いた(と思う。うろ覚え)。
 でも、ほんとうに10年もいっしょにいる人が、ぼくに現れるなんて、思ってもいなかったから、素直に書けた。五部林がそばでぼくの筆箱をひっくり返しているのを感じながら。

 それから、Cとほんとに久しぶりにゆっくり話をした。
 Cの仕事の話とか、保育所の話とか、ドラマ「最高の離婚」の話とか。
 その後、洗い物をして、疲れて横になったCのそばでぼくも寝転んで、また話をした。そのうち、五部林が泣いたので、和室に移って、久しぶりに3人で寝た。Cは、32才初日にして、お風呂にも入らず。珍しく、五部林は、夜中に何度も泣いて起きて、ぼくが別室でひとりで眠り始めるまでの日々を思い出したりした。

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 長い一日だった。
 疲れたけど、五部林も楽しんでもらえたと思うし、何より、誕生日を迎えたCとゆっくり話ができたのがとても良かった。

*1:http://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%83%93

*2:http://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%9F

*3:ベビーカーでの移動、というのは、つねにこういう「面倒くささ」が待ち受けていて、ベビーカーに乗せていたとしても、駅でもどこでもエレベーターを探し回らなくてはいけないし、電車に乗っていても、混んでいるとなんだか申し訳ないような気にもなって、また、ふつうに道路を歩いていても、歩道の段差がいちいち気になって、気にしていないと、前輪が引っかかって前につんのめりそうにもなって、「車椅子の人もこんなことをつねに思ったりするんだろうな」と、いつも思う

*4:JALとANAの両方があったけど、「どっちがいい?」と訊くと、五部林はANAの方を手に取った